開示・訂正・利用停止の請求と窓口の書き方:事業者情報、手続、手数料、本人確認

プライバシーポリシーの窓口の欄は、連絡先を載せるだけの欄ではありません。保有個人データについて、法が本人の知り得る状態に置くよう求める事項を満たす場所です。載せる事項、住所の置き方、請求の手続、本人確認、手数料、応じない場合の通知を順に整理します。

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窓口が「準備中」のまま公開されていたり、手数料が「別途定める金額」とだけ書かれていたりすると、32条1項の事項を満たしているかが疑わしくなります。

このページの要点

  • 32条1項の事項は、事業者の氏名・名称・住所・代表者、全ての保有個人データの利用目的、請求の手続(手数料を定めたときはその額)、政令で定める事項(安全管理措置、苦情の申出先など)の4つ。
  • 住所を載せない場合も、本人の求めに応じて遅滞なく回答する体制が動いていることが前提になる。「準備中」「予約確定後に通知」は、この前提を崩す。
  • 請求の種類(利用目的の通知、開示、訂正等、利用停止等)ごとに手続を書き、本人確認は請求の内容に見合った程度にとどめて、本人に過重な負担を課さない。
  • 手数料は実費を勘案した合理的な額で、額を定めたなら窓口の欄に載せる。応じない場合は、遅滞なく通知し、理由の説明に努める。

結論:窓口の欄は「請求を受け付けられる状態か」で見る。載せる事項は法と政令で決まっている

プライバシーポリシーの末尾に置かれる「個人情報に関する窓口」の欄は、連絡先を載せておくだけの欄ではありません。個人情報保護法は、保有個人データ(事業者が開示や訂正、利用停止などを行える権限を持つ個人データ)について、一定の事項を本人が知り得る状態に置くことを求めています(法32条1項)。窓口の欄は、その事項を実際に満たす場所になります。

このページでは、窓口の欄を設計するときに決めることを、次の順で整理します。

  1. 何を載せる義務があるのか(法32条1項の4つの事項と、政令が加えている事項)。
  2. 住所や電話番号を出したくないとき、窓口をどう置けば条文の文言に収まるのか。
  3. 開示・訂正・利用停止など、請求の種類ごとの手続をどう決めるか(法37条)。
  4. 本人確認と代理人の扱い、手数料の定め方(法37条・38条)。
  5. 請求に応じない場合の通知と、回答の期限を書くときの注意(法33条〜36条)。

書類全体の中で窓口の欄がどこに当たるかは全体の地図のページ、保管期間と安全管理措置の書き方は保管・安全管理のページで扱っています。ここでは窓口と請求手続に絞ります。

まず確認する:自分の手元の情報は「保有個人データ」に当たるか

窓口の欄に載せる事項の義務は、保有個人データについて発生します。個人情報の段階は、個人情報、個人データ、保有個人データの順に狭くなり、後ろへ進むほど義務が増えます(法2条1項、16条3項・4項)。

個人情報から保有個人データまでの段階

個人情報生存する個人に関する情報で、氏名などにより特定の個人を識別できるもの(法2条1項)。

個人データ個人情報データベース等(検索できるように体系的に整理された情報の集合物)を構成する個人情報(法16条3項)。顧客名簿や予約台帳が典型です。

保有個人データ個人データのうち、事業者が開示、訂正・追加・削除、利用の停止・消去、第三者への提供の停止を行える権限を持つもの(法16条4項)。

窓口の欄の義務が発生するのは、いちばん内側の保有個人データです。

顧客の予約や連絡先を自分で管理している小規模な事業者の手元の名簿は、通常、保有個人データに当たります。条文上、保有個人データから除かれるのは、存否が明らかになることで公益その他の利益が害されるものとして政令で定めるものです(法16条4項)。「数か月で消す予定の記録だから対象外」という区切りは、条文の文言にはありません。保存の期間が短いことだけを理由に、窓口の欄を省くことはできないと考えて設計するのが安全です。

反対に、他の事業者から預かって処理しているだけで、開示や訂正を自分の判断で行える権限がないデータは、保有個人データに当たらない場合があります。この区分は取引の形で決まるため、預かる側か預ける側かを先に確かめます。

法32条1項が求める4つの事項と、窓口の欄への落とし込み

法32条1項は、次の事項を本人の知り得る状態に置くことを求めています。かっこ書きに「本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む」とある点が、後の住所の話で重要になります。

法32条1項の事項と、窓口の欄での書き方

条文の事項内容窓口の欄での書き方
1号:事業者の氏名・名称、住所、代表者個人情報取扱事業者の氏名又は名称及び住所。法人は代表者の氏名も。個人なら氏名、法人なら名称・所在地・代表者名。屋号を併記する。
2号:全ての保有個人データの利用目的ただし、通知・公表で本人や第三者の権利利益、または事業者の権利・正当な利益を害するおそれがある場合など、法21条4項1号〜3号に該当するものは除かれる。利用目的の条を「窓口の欄から行ける場所」に置く。ポリシーの前の条で足りるなら、その旨を示す。
3号:請求に応じる手続利用目的の通知の求め、開示、訂正等、利用停止等の請求の手続。手数料を定めたときはその額も。宛先、方法、必要書類、本人確認、手数料を、請求の種類ごとに書く。
4号:政令で定める事項安全管理のために講じた措置(公表で安全管理に支障が出るものを除く)、苦情の申出先、認定個人情報保護団体の名称と苦情の申出先(政令10条)。安全管理措置の概要と苦情の申出先を書く。団体に加入していなければ団体の欄は不要。

2号の利用目的は、窓口の欄にもう一度全文を書く必要はありません。利用目的の条がポリシーの中にあり、本人がそこにたどり着ける構成であれば足ります。注意したいのは、利用目的の条に載っていない目的で保有個人データを使っている場合です。窓口の欄の整備より前に、利用目的の書き方のページで扱う棚卸しが必要になります。

4号の安全管理措置は、「講じた措置」を書く欄です。講じていない措置を並べると、食い違いの原因になります。講じた措置を公表することで安全管理に支障が出る内容(具体的な防御の設定など)は、政令が公表の対象から外しています。概要にとどめる書き方で足ります。

住所や電話番号を出したくないとき:条文の文言から窓口を組み立てる

自宅で事業を行う個人事業主にとって、住所の公表は大きな心理的負担です。1号は事業者の「住所」を挙げているため、載せなくてよいという答えにはなりません。ただし、条文は「本人の知り得る状態(本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む。)」と定めています。窓口の欄に住所そのものを載せなくても、本人から求められたときに遅滞なく回答できる体制があるなら、文言には収まる余地があります。

この余地を使うときは、次の条件が崩れないようにします。

  • 求めを受け付ける連絡手段が、実際に動いていること(メールの宛先、フォーム、郵送先の私書箱など)。
  • 求めがあれば遅滞なく回答する運用が、実際にできること。回答に条件を付けて遅らせない。
  • 回答の内容が、事業者の氏名・名称、住所、代表者の氏名として、事実のとおりであること。
  • 窓口の欄に、住所は請求に応じて回答する旨を書いておくこと。本人が求め方を知れるようにするためです。

書き方の例(一般的な例) 窓口の欄の書き方

連絡先の状態

よくある書き方窓口:準備中。詳細は予約確定後にお知らせします。
整えた書き方窓口:専用のメールフォームから受け付けます。事業者の住所は、請求があれば遅滞なく回答します。

理由予約確定を条件にすると、予約をしない本人が窓口にたどり着けず、本人の求めに応じて遅滞なく回答するという文言を満たしにくくなるため。

連絡手段

よくある書き方個人情報に関する連絡は、ホームページの連絡欄をご利用ください。
整えた書き方開示等のご請求は、このページのフォームまたは記載の郵送先で受け付けます。

理由請求の窓口と、一般の連絡欄を分けて、請求として扱われる入口を明示するため。

名称の書き方

よくある書き方運営:店舗名(屋号のみ)
整えた書き方運営:氏名(屋号:店舗名)。住所は請求に応じて回答します。

理由条文は「氏名又は名称」と「住所」を求めている。屋号だけで足りるかは、通則編の記載で確認が必要。

なお、特定商取引法に基づく通信販売の表示などは、別の法律が別の目的で事業者の情報の表示を求める枠組みです。そちらの表示の扱いが、個人情報保護法の公表の要件と一致するとは限りません。両方の表示をそろえる必要がある事業では、法律ごとに条文を確認し、書き分けます。

掲載文の例

個人情報の取扱いに関する窓口の掲載例

事業者の名称:○○(氏名または法人名)。代表者:○○。住所:請求があれば遅滞なくお答えします。

保有個人データの利用目的の通知、開示、訂正・追加・削除、利用停止・消去、第三者への提供の停止のご請求は、次の窓口で受け付けます。受付:専用フォーム(URL)。

ご請求の際は、ご本人であることを確認するため、氏名・連絡先と、請求の内容、対象となる情報(予約の日付など)をお知らせください。

個人情報の取扱いに関する苦情は、同じ窓口で受け付けます。

実際の連絡手段、確認の方法に合わせて書き換える。「準備中」などの言葉は残さない。

請求の種類ごとに、手続の入口と要件が違う

窓口の欄には、請求の種類ごとに手続を書きます。種類ごとに条文が違い、求められる理由や、応じる義務の内容が異なるためです。

請求の種類と、条文の押さえどころ

請求の種類条文押さえどころ
利用目的の通知法32条2項・3項本人が識別される保有個人データの利用目的の通知を求められたら、遅滞なく通知する。通知しないと決めたときも、その旨を通知する。
開示法33条電磁的記録の提供や書面の交付などの方法で、遅滞なく開示する。他人の権利を害するおそれがある場合などは、全部または一部を開示しないことができる。
訂正・追加・削除法34条内容が事実でないときに請求できる。必要な調査を行い、結果に基づき訂正等をして、その旨を通知する。
利用停止・消去/第三者提供の停止法35条法の定めに違反して取り扱っている、取得しているなどの場合に請求できる。利用する必要がなくなった場合なども請求の対象に含まれる。

開示の方法について、個人情報保護委員会規則は、電磁的記録の提供による方法、書面の交付による方法、その他事業者の定める方法を挙げています(規則30条)。窓口の欄には、事業者が実際に対応できる方法を書きます。電磁的記録での開示を求められたときに、費用が多額になるなど困難な場合は書面の交付による方法で足りる、という扱いが条文にあります(法33条2項)。

訂正等の請求は、保有個人データの内容が「事実でない」場合に限られます。本人の意見や評価に属する記録について、事実と異なると主張されても、訂正等の対象になるかは記録の性質によって変わります。窓口の欄では、どの記録が訂正の対象になり得るかを断定せず、請求を受けたうえで調査して回答する、という手順を書くのが現実的です。

利用停止等の請求は、条文が理由を限定しています。事業者の側が法の定めに違反して取り扱っている場合のほか、保有個人データを利用する必要がなくなった場合なども請求の対象に含まれます(法35条5項)。窓口の欄で、請求できる場合を限定しすぎると、条文より狭い案内になります。「ご請求の内容に応じて、法の定めに従って対応します」という書き方を併記しておくと、条文の範囲を狭めずに済みます。

請求を受け付ける方法を事業者が定めることは、法37条1項が認めています。その場合、本人は定められた方法に従って請求します。政令は、定めることができる事項として、請求の申出先、提出する書面の様式その他の方式、本人または代理人であることの確認の方法、手数料の徴収方法を挙げています(政令12条)。窓口の欄は、これらの事項を書く場所だと言い換えられます。

本人確認・代理人・手数料:確かめることと、求めすぎないこと

他人になりすました請求に応じてしまえば、窓口が情報漏えいの入口になります。本人確認は必要です。その一方で、手続を定めるときは、本人に過重な負担を課すものにならないよう配慮しなければならないとされています(法37条4項)。本人確認の手段は、請求の内容の重さに見合ったものにします。

確認の問い本人確認の手続を決める前に確認する問い

  1. 請求の内容が、開示(情報が出ていく請求)か、利用停止(情報を止める請求)かで、確認の厳しさを変えているか。

    理由開示は誤って応じたときの影響が大きい。利用停止は、誤って応じたときの被害が比較的小さい場合がある。確認の程度を請求の内容に見合わせるため。

  2. 求める本人確認書類を、運転免許証など1種類に固定していないか。

    理由持っていない人がいる。選べる方法を複数示すと、過重な負担になりにくい。

  3. すでに事業者が持っている情報(予約時の連絡先、登録のメールアドレスなど)との照合で、確認できる場合はないか。

    理由新たに身分証の写しを集めると、事業者が持つ個人情報が増える。照合で足りるなら、その方法のほうが負担が軽い。

  4. 確認のために受け取った書類の保管と廃棄の方法を決めているか。

    理由確認のために取った情報も個人情報になる。目的を本人確認に限り、確認後は速やかに廃棄する運用を書いておくため。

請求を代理人が行う場合について、政令は、未成年者または成年被後見人の法定代理人と、請求をすることについて本人が委任した代理人を挙げています(政令13条)。子ども向けの教室や、保護者が申込みをするサービスでは、実際の請求は保護者から来るのが通常です。窓口の欄に「保護者(法定代理人)の方は、親権を確認できる書類を添えてください」といった方法を書いておくと、運用が安定します。委任による代理人の場合は、本人の委任状と、本人と代理人双方の確認の方法を決めます。

請求の対象を特定する情報の提示を、事業者が求めることもできます(法37条2項)。その場合は、本人が容易かつ的確に請求できるよう、対象の特定に役立つ情報を提供するなどの措置をとる義務があります。「どの記録か分からないから応じられない」と突き返すのでなく、予約の時期や利用したサービスなど、特定の手がかりを尋ねる運用にします。

手数料:実費を勘案した合理的な額で、金額が分かるように書く

手数料を取ることができるのは、利用目的の通知を求められたときと、開示の請求を受けたときです(法38条1項)。訂正等や利用停止等の請求では、条文上、手数料を徴収する根拠が置かれていません。手数料を徴収する場合は、実費を勘案して合理的であると認められる範囲内で額を定めなければなりません(法38条2項)。

窓口の欄で、手数料の額は、32条1項3号の「手数料の額を定めたときはその額」に当たります。額を定めたのに窓口の欄に額が書かれていなければ、載せるべき事項が欠けた状態です。反対に、手数料を取らないなら、「手数料は不要です」と書いておくと、本人の迷いを減らせます。

書き方の例(一般的な例) 手数料の書き方

金額の書き方

よくある書き方手数料は別途定める金額とします。
整えた書き方開示の請求1回につき○円(税込)。電磁的記録で開示する場合は○円、書面の場合は○円。

理由額を定めたのなら、その額が本人の知り得る状態にあることが求められるため。額が決まっていないなら、決めてから載せる。

額の根拠

よくある書き方手数料は当社の裁量で決定します。
整えた書き方手数料は、コピー代、郵送料などの実費を勘案して定めた額です。

理由実費を勘案した合理的な範囲で定める義務があるため。裁量という書き方は、その範囲に収まる保証が見えない。

手数料の徴収方法(事前の振込か、開示時の受け取りか)も、受け付ける方法の一部として定めることができます(政令12条4号)。小規模な事業者で、請求がほとんど想定されない場合でも、額と方法をあらかじめ決めておけば、請求が来たときに慌てずに済みます。

応じる流れと、応じない場合の通知:期限は「遅滞なく」が条文の基準

請求を受けてから回答するまでの流れ

  1. 受付窓口で請求を受け取り、受付の記録を作る。宛先、方法、日付を記録する。
  2. 本人確認定めた方法で確認する。足りない情報があれば、負担を考えて追加で尋ねる。
  3. 対象の特定と調査対象の保有個人データを特定し、開示なら該当の記録を集める。訂正なら、事実かどうかを調べる。
  4. 判断全部応じるか、一部または全部を応じないかを決める。応じない理由が条文の事由に当たるかを確かめる。
  5. 通知と実行遅滞なく、開示などを実施するか、応じない旨を通知する。
  6. 記録請求の内容、判断、回答の日付を保存する。

法33条3項、34条3項、35条7項は、応じない決定をしたときの通知を定めています。

開示について、事業者は遅滞なく開示しなければなりません。開示しないことができるのは、本人または第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合、事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、他の法令に違反することとなる場合のいずれかです(法33条2項ただし書)。開示しない旨の決定をしたとき、該当のデータが存在しないときなどは、本人に遅滞なくその旨を通知します(法33条3項)。

こうして応じない旨や、求められた措置と異なる措置をとる旨を通知するときは、本人に対して理由を説明するよう努めなければなりません(法36条)。理由の説明は努力義務ですが、請求が拒まれたと感じた本人は、苦情を申し出たり、民事上の手続に進んだりすることがあります。本人が訴えを提起しようとするときは、あらかじめ請求を行い、その到達から2週間を経過した後でなければならない(事業者が請求を拒んだときは別)、という定めもあります(法39条)。請求の受付と回答の記録は、後で経過を確かめる証拠にもなります。

回答の期限について、窓口の欄に「受付から○日以内に回答します」と固定の日数を書く事業者があります。法の基準は「遅滞なく」です。固定の日数を書くことは禁じられていませんが、その日数以内に必ず回答できるのか、複雑な請求のときに延びる余地を書いておくのかを決めたうえで書きます。守れない日数を約束すると、窓口の欄の記載と運用の食い違いになります。

苦情の処理については、事業者は個人情報の取扱いに関する苦情の適切かつ迅速な処理に努め、そのために必要な体制の整備に努めるものとされています(法40条)。窓口の欄の苦情の申出先は、政令10条の事項でもあります。請求の窓口と苦情の窓口を同じにするか別にするかを決め、書いておきます。

窓口の欄で起きがちなこと

起きがちなこと

  • 窓口が「準備中」「予約確定後にお知らせ」のまま公開され、本人が請求の入口を見つけられない。
  • 事業者の氏名・名称、住所、代表者の氏名のいずれかが欠けていて、住所は請求に応じて回答するという説明もない。
  • 手数料が「別途定める金額」とだけ書かれ、額も根拠も示されていない。
  • 本人確認として、必要以上の書類を一律に求める手続になっている。
  • 回答期限に固定の日数を書いたが、運用で守れる体制がない。
  • 保護者が代わって請求する場合の確認方法が書かれていない。
  • 請求の種類が開示だけで、訂正、利用停止、利用目的の通知の手続が書かれていない。
  • 請求を受けた記録が残らず、後で経過を確かめられない。

よくあるご質問

個人事業主は、窓口の欄に自宅の住所を載せなければいけませんか。

法32条1項1号は、事業者の氏名または名称と住所を、本人の知り得る状態に置くことを求めています。ただし、そのかっこ書きは「本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合を含む」としています。窓口の欄に住所そのものを書かなくても、本人から求められたときに遅滞なく回答できる体制があり、その旨が窓口の欄に書かれているなら、文言には収まる余地があります。連絡手段が動いていること、回答に条件を付けて遅らせないことが前提です。特定商取引法に基づく表示など、別の法律の表示義務は別に確認します。

お客様から開示請求が来たら、必ず全部開示しなければなりませんか。

全部を開示する義務ではありません。法33条2項ただし書は、開示することで、本人または第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合、事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、他の法令に違反することとなる場合のいずれかに当たるときは、全部または一部を開示しないことができるとしています。この場合も、開示しない旨は本人に遅滞なく通知します(同条3項)。理由の説明は努力義務です(法36条)。

手数料はいくらまで取れますか。

法38条2項は、実費を勘案して合理的であると認められる範囲内で額を定めることを求めています。金額の上限を法が数字で決めているわけではありません。コピー代、郵送料、確認に要する作業の実費などから、合理的な範囲を決めます。額を定めたら、窓口の欄に載せて本人の知り得る状態に置きます(法32条1項3号)。訂正等や利用停止等の請求では、条文上、手数料を徴収する根拠が置かれていません。

子どもの情報について、保護者が開示を求めてきたときはどうしますか。

開示等の請求は、代理人によってすることができ、政令は、未成年者または成年被後見人の法定代理人と、本人が委任した代理人を挙げています(法37条3項、政令13条)。保護者が法定代理人として請求する場合の確認方法を、窓口の欄にあらかじめ書いておくと運用が安定します。確認は、請求の内容に見合った程度にとどめ、本人や保護者に過重な負担を課さないよう配慮します(法37条4項)。

請求に応じない場合、理由を説明しなくてもよいのですか。

理由の説明は、法36条で努力義務とされています。法的な義務としては、応じない旨の通知が必要です(開示は法33条3項、訂正等は34条3項、利用停止等は35条7項)。ただし、理由を説明しないまま応じないと、本人が納得せず、苦情に発展するおそれがあります。条文の事由に当たることを、本人に分かる言葉で簡潔に説明する運用をとっておくと、後の経過を確かめるのにも役立ちます。

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